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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(オ)587号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨(一)及び(三)について。

本件所有権確認の請求は、法律上第一審被告三島正秀及び同株式会社平和相互銀行に対しそれぞれ独立したものであつて、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定する必要のある場合に該当するものとは認められない。それ故、第一審共同訴訟人三島正秀が控訴をしなかつた以上、原審において同人を当事者として口頭弁論に関与せしめなかつたことは何ら違法ではなく、また、第一審判決の右三島正秀に対して既に確定した部分の効力が右株式会社平和相互銀行に及ぶべき筋合のものではないから、原判決には所論確定判決の効力を無視した違法も認められない。なお、所論(一)の引用の判例は当裁判所の採用しないところであり(昭和二七年(オ)第二九五号、同二九年九月一七日第二小法廷判決、集八巻九号、一、六三五頁、昭和二八年(オ)第六八六号、同三一年九月二八日第二小法廷判決、集一〇巻九号、一、二一三頁参照)、同(三)の引用の判例は本件に適切でない。

同(二)について。

原審は、所論証拠を上告人が援用したことは事実摘示に掲記しており、そして、原審が右証拠を採用しなかつたことは、原判決が「その他本件一切の証拠を検討しても右認定を覆すに足る証拠を見出すことはできない」と判示したところにより明らかであつて、所論の違法は認められない。引用の判例は、当事者の援用した証拠を事実摘示に掲記していない場合に関するものであつて、本件に適切でない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫)

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